Innocent　Wedge　完結しました。

Innocent　Wedgeを連載し始めたのは、2010年の夏～秋ごろだったようです。

完結まで実に11年もかかってしまいました。

連載開始後から「だいたいこのお話は500ページくらいかなぁ」と思っていたのですが、遅くても6～7年くらい、30代になるまでには完結できるんじゃないかなと薄らぼんやりと思っていました。

最初は連載先であったお絵かき掲示板のスレッドが流れる速度に準じて新しくページを描き始め、スレッドがほどよく流れたタイミングで投稿……というペースを続けてこられたのですが、時代の流れでお絵かき掲示板が過疎状態になるとそれも厳しくなりました。

更新スピードはどんどん遅くなり、「このままではアラフォーになっても完結しないぞ！」という焦りから無理くり自分でペース設定をしていったことを覚えています。

「完結」を意識しはじめたのは、２～３年前でした。私的な話にはなりますが、ちょうどそのころはパートナーとの結婚を考え始めたころでもありました。

このまま双方の体調などがまったく問題なければ、私は一人暮らしをやめ、創作活動と無縁のパートナーと二人暮らしを始め、ゆくゆくは出産育児をこなすだろう。そう思ったとき、せめて育児を始めるまでにはInnocent　Wedgeを完結しなければいけないと思ったのです。

入籍が2020年2月。2021年の年始に卵巣の手術を受けることが決まったので、妊活を術後にはじめるとすると、2021年の年末までにすべてのページを描き終えればおそらく出産までに間に合うのではないか。

そう考えて、本年の末という目標を設定しました。

結果的には妊活の方がうまく行かず、夏ごろに一度妊娠したものの流産に至っています。妊活は続けていますが、まだ妊娠には至っていません。

「もし自分たちが不妊の場合」を想定し、創作完結後も自分が描くもの・描く場所を得られるようにと2020年夏ごろからイラストのご依頼を始めました。

有難いことに依頼をたくさんいただき、2022年もしばらくは自分が描くものを見失わずに済みそうです。

2022年以降も妊活にあがきながら、ご依頼のイラスト中心に活動を続けていく予定です。

長編作品は、自分がもし妊活を諦めた場合は描くことがあるかもしれません。しかし完結できる保証がない作品はそもそも描きはじめたくないので、前述の理由のために現時点では取り掛かる予定はありません。

終わりの見えない山道を登り続け、道中に変化し続ける行程を楽しむのが創作クラスタの醍醐味です。

山頂から見える景色は絶景ですが、頂に達してしまった以上それ以上の景色は望めません。ゆっくりと薄れて記憶に仕舞われていくだけです。

もっとゆっくりと登山を楽しむ・次の山を目指す、というのも選択肢の一つではあったのですが、2010年からずっと「絶対にこの話を完結させる」という意志だけは揺らがなかったので当初の目標通りこのタイミングで完結させました。

周囲の方たちを拝見すると、何本もの作品を同時進行されたり、イベントごとに本を出したり、1年に何百ページも描かれるような素敵な方々ばかりです。自分は1年に50ページ描くのがやっとでした。

しかし、最後まで描き切る方があまりにも少ないこの界隈で「最後まで描き切れた」という事実だけは確かであり私の誇りです。

15年以上創作活動を続けてきましたが、未完の作品は連載先のサイトが途中で消滅した1作だけです。完結させることへの執着は誰にも負けません。

そして、私の周囲にいてくれた方々が長くこの作品を愛してくれて、ストーリーに心を動かしてくださる素敵な方々であったことも私の誇りです。

最後まで描き切ることができたのは、間違いなく周囲の方に恵まれていたからです。

かなりの時間を要した長編作品でしたが、色々な人からたくさんのコメントをいただき、ファンアートや動画を作ってくださったり、音声作品ではたくさんのご協力をいただいた方もいらっしゃいました。

Innocent　Wedgeに触れてくださったすべての方へ。

ありがとうございました。